『神代卷聽記 壹』（e3610）

　

かみよのまきききがき　そのいち

『神代卷聽記 壹』（e3610）ワードファイル、83.0MB。定價\6,050.-（未課税定價\5,500.-）

　　本書は　表紙に「神代卷聽記　壹」とある明治六年の講演筆記録を複製したものである。原本は天地百二十四粍（四寸）、左右百七十四粍（五寸七分）の右横綴ぢで、前表紙を含め全部で二十九折り。後表紙は無く、二箇所を紙縒で綴ぢてゐる。書籍としての保存状態は惡く、全體に汚れやくすみがあり、本文の文字に掛かる蟲損も多くあり。全部の折りを水洗したが、補修は前表紙のみに施し、他は丁に合紙を入れて畫像データを作成した。 　　表紙、本文巻頭、巻末に左右徑十五粍、天地徑十六粍の丸い墨印ありて、「藤井」とあり、その右に「ハラダ」、左に「ムラ」とある。この印は筆者を示す物か否かは判らないので、舊藏者名とした。 　　本文の内容は、我が國の古代史の神代記に就いての聴講記で、この卷では全九囘の會のうち八囘分が記されてゐて、「第六會」の後に無地の二丁分があり、その後に、「第八會」と「其後會」があり、この卷を終へてゐる。講演者は不明。巻頭に「神代卷上明治六七月卅日開筵　其一會」とあり、其二會は「於光浄寺、八月五日」、其三會は「於光浄寺、八月二十五日」、第六會は「於下石津」、其八會は「十一月十三日」とあり、他の會は、場所も日付も書いてゐない。 　　丸い墨印の「ハラダムラ」や「光浄寺、下石津」の地名から、現在の大阪府堺市原田が關連地名として考へられ、ならば、この講演は明治六年夏以降に、堺で行はれたものと考へられる。