『商家秘録』（e3609）

　

しょうかひろく

『商家秘録』（e3609）ワードファイル、141MB。定價\8,250.-（未課税定價\7,500.-）

　本書は米を扱ふ大坂の商人のための米相場に對する心構へを説いた刊本を電子的に復元したものである。原本は外形が天地丈五寸、左右幅三寸六分の和綴ぢ刊本で、本文八十丁、目次などの前付け七丁、後表紙保護を兼ねた奧書丁、前表紙保護丁の合計八十九丁から成る。
　表紙の題箋は剥落してゐるが、目次丁には「商家秘録目次」とあるので、本書の書名を『商家秘録』とした。また、巻頭の「叙」には、「是の書は人に�ﾍゆるにあらず、我が覺へ書きにして、二三子に與ふるのみ　大玄子書」とあるので、著者を「大玄子」とした。
　奧書の丁には、米相場に關する既刊書十二件を紹介し、「明和七庚寅年十一月校正」とあるので、原本の刊行を明和七年とした。また「書林」として、大坂の三つの書籍業者、高木遷喬堂、敦賀屋九兵衞、志ほ屋長兵衞を掲げてゐるので、大坂で刊行されたことが判る。 　本書の内容は、米相場に取り組む際の心構へや、相場の仕組みなどの知識のほか、相場に關する暦や占ひに就いての解説、さらには、市場で言はれてゐる俗諺を紹介し、巻末には大坂の米市場での年中行事を紹介してゐる。徳川時代の大坂は米相場では現代の株式相場や商品相場での各種賣買の仕組みの基本が開發され實行されてゐて、そこには世界最先端の市場が成立してゐたとも言はれてゐる。本書の内容がそのまま、現在の米穀取引に役立つか否かは別として、往時の取引の實體を伺ふ好資料であり、俗諺なども、現在も活きてゐる俗諺は勿論のこと、適宜、現代的な解釋を施すことで、株式取引ほか、各種商品取引にも大いに役立つことが期待できよう。