ぎしなんもんげんかいろく
『義士難問言開録』(e3502)A4版、71頁。ワードファイル、36.0MB。定價\3,300.-(未課税定價\3,000.-)
本書は表紙に「義士難問言開録 完」とある和綴ぢ筆冩本を電子化複製したもので、原本は、天地二百四十九ミリ(八寸二分)、左右百七十六ミリ(五寸八分)の三十三丁からなり、二箇所を紙縒で綴ぢてある。
本書は忠臣藏關連本の一つで、内容は、討ち入りを果たした赤穂浪士が幕府の取調べに對しての辯明であり、書名は、正義を實行した武士が難しい審問に對しての「言ひ開き」を記録した一冊本といふことで、七文字で『義士難問言開録』といふ名にしたのであらう。そこで、書名の讀みは、音讀みで「ぎしなんもんげんかいろく」とした。
電子化に用ゐた原本は、汚れや埃は少ないものの蟲喰ひが酷く、損傷は文字部分にも及んでゐる。書體は癖が強く、解讀が難しい所も多い。
後表紙の記載「明治九年 丙子拾壱月 日」は元の所有者が筆冩を終へた年月であらう。
本文は「大石十八个條御吟味之事」といふ項目から始まるが、全體の項目立ては、必ずしも、その十八个條に即した物ではなく、次の十七項目が揚げられてゐる。
幕府のお膝元での騒ぎである
夜中の押し込みは盗賊なみである
火事装束で火事呼ばはりして騒動させた
他家の門を壊して出入りした
同調した者、数百人が四方を圍んでゐたといふが、それらは何処へ逃げたか
參加した内匠頭家來は四拾七人といふが、他にもゐたか
上野介の居間へは行つたか、どこで首を取つたか
押し入る時に燈火を持參したか
飛道具を持参したのは法律違反である
長道具を持参したのは法律違反である
鳴物を持参したのは戰時の如くである
采配を使つたのは、叛逆兵か百姓一揆に類する
上野介の養子左兵衞には手疵を負せたか
大勢の人を殺したのはけしからん
上野介の屋敷を壊したこと
連中のほかに手引をした者はゐるか
外にもこの事件の協力者がゐたのか