めいじじゅうさんねんばん どうじつう
原本電子化 『明治十三年版 童子通』(e3314)ワードファイル、23.0MB。定價\3,300.-(未課税定價\3,000.-)
本書は、明治十三年再刊の『童子通』の表紙を含む全てのページを電子化したもので、原本は、天地丈六寸(百八十一ミリメートル)、左右幅四寸(百二十ミリ)、前表紙貼込み紙を除く本文五十一丁、白糸で四つ目綴ぢして、題箋には、『童子通 全』とある。
原書の前表紙の内側に貼付けた扉には、「山本蕉逸先生著 童子通 全 東京書林 玉嵒堂」とあり、「玉嵒堂」の下には、「廣文堂新」と讀める角印を朱で捺してある。後表紙の内側に貼付けた紙の裾には、「∧や」と描いた屋號の下部に二文字を描いた朱の角印、その上に「堀利」といふ認印のやうな小さな丸印が朱で捺してある。この丸印は巻頭の最初の丁の右下隅と下小口の綴ぢ代に近い所にも朱で捺してある。また、綴を解いて讀むことができたが、後表紙裏には、舊藏者による、この書の由來が、讀みづらい書體で、「明治二十一年◇◇六月十七日◇七月廿五日參上之際 ◇◇◇◇草次良先生より 頂戴 拙者師匠ニ御座候」とメモ書きされてゐる。
電子書籍の製作には、原本の綴ぢを解いて、全ての折り丁と表紙を畫像データにしたもので複製した。原本には、蟲による損傷があり、一部、本文文字にも損傷が及んでゐる。後表紙の裏の書込みは、そのまま、畫像化した。
内容は、特に章立てや中見出しなどはせずに、児童にとつて、知らなければならない「常識」を書いてゐる。本文の巻頭に「児輩に告ぐ。庶{ねがは}くば、竹馬の餘間に於いて、少なく補ひあらん」とある。すなはち、本書の内容は江戸時代後半から明治中葉にかけての誰もが知つてゐるべき「常識」とされるもので、令和の我々には少々、縁遠い智識があつても、古い刊本や書き本を讀む時には、最低限必須の智識であるといへよう。まさに、「暇を見付けて、せっせと讀みなさい」である。