きいのくにみょうざおくりもんじょをよむ
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本書の原本は、天保四年七月の、差出人と宛先を書いた文書三通と、午正月の日付がある「村極」一通である。
文書の内容は紀伊國海士郡西庄村山本善右衞門の實子清助は幼い頃に同國名草郡有本村嘉右衞門の養子となつてゐたが、有本村で名座を相續するに當り、宮座の權利が必要となり、その求めにより西庄村の木本八幡宮は、山本善右衞門は由緒正しい家柄で當社の名座に間違ひ無いとの證明を有本村の名座衆へ出してゐる。それにより、清助はめでたく有本村の名座を相續出來たので、西庄村の山本家に對しては、その恩義により、清助の代では勿論、子孫代々、山本家に何があつても、氏神や菩提寺への冥加金なども忘れませんと誓つてゐる。名座送り文書のうち「西庄村の木本八幡宮の證明書」一通は冩し、「誓紙」二通は下書きと見られる。「村極」は農作業手傳ひの日當を定めたもので、有本村の定めと見られる。これらの文書では、「名座」と「宮座」を書き分けてゐるが、具體的な違ひなどは判らない。「村極」には、「脇座」といふ語もある。
本書では原本の縮小畫像を示したうへで、原本の文字起こし、讀み、意味を讀み解いた。解讀に當り、紀伊國の往時の座の仕組みや、農作業の實際に就いての智識が無く、讀み解きは不十分とならざるをえなかつた。ただ、家の相續に當つては、嚴重な手續が必要であつたことは、良く判る。
内容
その壹 『差入申誓紙之事』
その貳 『差入誓紙之事』
その參 『名座送り一札之事』
その肆 『村極』
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